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──タン、タン、タン
誰かが階段を上る音がする。時々不規則になるあたり、父だ。必ず。
──ダン!
勢い良く、俺と七海が寝る部屋の扉を開けた。音に驚いた七海が俺を背中からきつく抱きしめてくる。
「七海…」
父が甘い声で言ってくる。
気持ち悪い…。
「七海…父さんと下に行こう」
七海は絶対に動かない。
俺の背中に顔をうずめている。
「七海!!」
父が怒鳴る。
その声に反応するかのように、俺の背中が濡れてきていた。七海が泣いている。
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