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菊はアーサーの容姿がストライクだった。
アルフレッドやフランシスも整った顔をしているが、菊は何よりあのペリドットのような澄んだ碧に弱かった。
たとえ元ヤンでエロ大使でパブってGOでも、あの容姿と差し引いてお釣りが来るほど。
そのため、今のようにジッと目を合わせられれば、胸が高鳴って頭が働かなかった。
「ほ、本田…あー、その…と、だな……」
口ごもる彼の顔も素敵です。内心そう悶えながら、菊は首を傾げる。
変に問えば、逆に焦るだろう。だが、何の反応もしなかったら、それはそれで問題がある。
菊はアーサーを鑑賞しながら、言葉を待っていた。
「だ~っ!…本田!!」
「は、はいっ!?」
ぐるぐるが頂点に達したのか、アーサーが勢いよく顔を上げる。髪を指で乱す様に、柔らかそうです…などとどこか逸れたことを思う。現実逃避ですね分かります。
菊は強い光を宿した瞳からさりげなく視線を反らす。そんなに見ないで下さい!とは、とても言えなかった。得意のエアリーディングが邪魔をする。
ストライクすぎて目のやり場に困るなんて、贅沢な悩みだ。
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