ACT.06 初恋

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  :::::: 「返してよ―――!」 「返してよぉ~だって。お前女子かよー」 「お前には合わねぇよ!これは俺が貰っといてやるよ!」 またクラスの奴らが有栖川をイジメている。 どうやら有栖川が持っていた男子向けの戦隊ロボットキャラクターの下敷きや文房具を取り上げている様だ。 今人気のこのキャラクターのグッズを揃えて持っている事が俺達小学生にとっては カッコイイとされる。 有栖川の家は金持ちだから其れが簡単に出来るんだよな… 要は妬みと羨みからこういう目に合うんだけど… 「わぁ~!いいな!いいな!其れロボちゃんグッズでしょ~」 しばらくすると目を輝かせたきらが有栖川達の元へ近付く。 ちなみにそんなダサい戦隊ロボット名ではない。 「私も欲しいっ! ねぇねぇ、古出(コイデ)君コレ何処で買ったのー?」 取り上げたクラスの奴にそう聞くきら。 だが元々ソイツの物ではない為咄嗟に答えられないでいる。 すると 「…隣町のデパートで売ってるよ」 有栖川がか細い声で遠慮がちに口を開く。 「わぁ、そうなんだ!有栖川君物知りだねっ!」 ニッコリと笑顔で有栖川を褒める。 イジメっ子達は其の状況が許せない様子だ。 「夕嶌…ほ、欲しいならやるよっ!」 古出はさも自分の物かの様に其のグッズ達をきらへと渡した。 「え…本当?古出君本当にいいのー?古出君って凄く優しいんだね!」 とても嬉しそうに微笑む姿を見たら古出もあげた甲斐があったというものだろう。 其の後きらは古出からの受け取ったグッズを大事そうに机の中にしまい込んだ。 だけど俺は見たんだ… 其の日の帰りにきらが有栖川にグッズを返している所を…… 凄く嬉しそうな有栖川。 其れを見て微笑むきら。 きらは分かってないんだ… 有栖川はわざとそういう風に仕向けてるんだって事を………
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