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帰ろう。
そう思ったとき、近くの茂みでかすかな音が漏れた。
すかさず俺は視線を向ける。まだ、いるのか?
罠の可能性もあるので、慎重に近づく。そこにいたのは、まだ小さな子供だった。
ボロボロの衣服をまとい、手足には無数の小さな傷があった。
まさか、あいつらはこの子供を狙って?だとしたら、これはかなり面倒な事になるぞ。
小さな子供にあいつらのような手練れを送ってきたのだ。簡単には諦めないだろう。
だとすれば、施設や他の家庭に預ける事もできない。
考えているうちに、子供が目を覚ました。しかし意識は朦朧としていて、かなり衰弱していることがわかる。
俺は少し微笑むと、言った。
「大丈夫だ。あいつらはもう追ってこない。何故なら――」
俺は遠くから聞こえる断末魔の叫びを聞きながら言った。
「あいつらは、報いを受けなければならないからね」
おそらく、先程の騒ぎで目を覚ました魔物に襲われたのだろう。森を荒らした報いだ。
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