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俺は冷たくなっていた。
いつからかは分からない。
キミは泣いていた。
どれくらいかは分からない。
自分でも分からない、なんて、おかしな話だとは思う。
けど、事実は受け止めてこそ既成するものなんだよ。
キミには沢山の愛を貰った。でも、俺は割と賢かったから、素直に恩返しするのが照れ臭くってね。いつもキミを困らせていた気がするよ。
俺が食事をしている時、キミはじーっと俺を見ていたよな。正直、鬱陶しかった。だって、残さず食べなさいよ、だなんて、母親みたいなこと言うから。
まあ、そのお蔭で好き嫌いもなくなったし、感謝はしてる。
そういえば、キミの姉ちゃんは元気かい? 最近は仕事の方が忙しいみたいだけど、たまには帰ってきて欲しいよな。
やっぱり、みんな揃ってこその家族だと思うし、姉ちゃんが1人暮らしを始める前のキミの方が、喧嘩したり一緒に買い物行ったりと、生き生きしてた気がするからね。
さっきちらっと聞こえたけど、姉ちゃん、今こっちに向かってるんだって? 大丈夫かよ、仕事ほっぽらかして。
ああ、ごめんごめん。俺の声、もう聞こえないんだっけ。
おい、そんな顔するなよな。最初から分かってたことだろ。それが分かってて、俺を好きになったんだろ、泣くなよ。
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