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さあ、そろそろ時間だ。短い人生だったけど、楽しかった。だから、悔いはない。
──嘘。本当はちょっとだけ悔しい。キミの花嫁姿が見られないのは残念だよ。
キミって、化粧をしている時よりもスッピンの方が可愛いと思うんだよな。周りの人は見たことないだろ、キミのスッピン姿なんて。見たことあるのは、父ちゃん母ちゃん姉ちゃんに、今の彼氏くらいだろ?
初めての彼氏だもんな、大切にしてもらうんだぞ。幸せにならなかったら許さないからな。
よしっ、これが本当に最後。キミ、大好きだったよ。沢山の愛を、本当にありがとう。キミに出会えた俺は世界一の幸せ者だった。だからキミも、どうか世界で2番目の幸せ者に。
それじゃあ、キミの夢の中でまた会おう。バイバイ。
雨が降った。
いつからかは分からない。
涙が落ちた。
いつからかは分かる。
雨の方が分かりやすいのに、おかしな話だとは思う。
泣いても、泣いても、私の涙は涸れなかった。多分、雨の方が先に上がるような気がする。
君は私に沢山の思い出と愛情をくれたね、残してくれたね。絶対に忘れないよ、君のこと。君が天国に行って私を忘れそうになったら、大声で呼ぶから。
離したくないよ。離したら、君の心が飛んでいっちゃう気がするから。まだここにいるんでしょ? 鼻水垂らして泣く私を見て、そんな顔するなよって、早く離さないと引きずるぞって言っているんでしょ?
ねえ、何とか言ってよ……。
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