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そうだ、約束守れなかった。ごめんね、お別れの時は笑っていてあげるって言ったのに。
君を不安にさせたまま天国へ行かせるのは申し訳ないけど、許してね。だって、雨が降っているから、今なら誰にも気付かれずに泣けるなって思ってさ。
でも、大丈夫だから。私の涙は雨のように流れ落ちて、君と一緒に過ごしたこの庭の地面を、ぎゅっと固めてくれるから。
そういえば、君は私のこと、何て呼んでいたのかな。
なんとなくだけど、キミって呼んでいた気がする。みんなは私のことを普通に紀美恵って呼んでいたけど、君はお姉ちゃんみたいに、キミって愛称で呼んでくれていた気がするな。
雨、やっぱり上がらないね。もしかして、この雨は君の涙?
私は大丈夫だから。今はまだ泣いているけど、きっと大丈夫だから。だから、泣かないで。
って、泣いている私に言われても説得力ないよね、ごめん。
もうそろそろ、天国に向かうバスが来る頃かな。
じゃあ、最後に一言だけ。
本当にありがとう。私は君に出会えて、本当に幸せでした。
私の愛情、ちゃんと届いていたかな。届いていたなら、最後にあの声が聞きたいな。
──なんてね。ううん、いいや。聞こうと思えば、いつでも聞けるから。私の心にある君との思い出を叩けば、いつでも。
それじゃあ、私の夢の中で、また会いましょう。バイバイ。
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