碧天

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気が付けば… みんな涙で真っ赤な目をしていた… 声をあげて泣けるほど大胆にも 涙を隠せるほど器用にもなれない、愛すべき仲間達の姿がそこにはあった…   帰り支度をしていた主将のサトシが 真っ赤な目をしたまま顔もあげずに ぽつりと言った 『負け…ちまったな。』 まるで独り言の様につぶやいたサトシに 少し戸惑いながらも返事を返す… 「あぁ…負けちまったな。」 『もぉ少し…上までいけると思ったけどな。』 「あぁ…でも…まぁ、しかたないさ。」 『ぅん…しかたないよな。』 二人でそんな会話を繰り返した… まるで終わった事を再確認する様に… 何回かの繰り返しの後の事だった サトシが不意に顔をあげた 『腹減ったなっ!』 「あっ?」 『腹減ったなっ!なぁ!?』 そう言うと…サトシはニヤリと笑った。 「そうだなっ!腹減ったっ!」 俺もニヤリと笑った。 「よぉっ!みんなでスタミナ麺でも食いに行こうぜっ!」 『腹減ったぁっ』 腹が減ったと…みんなで騒いだ。 いつも通りに騒ぎながら…みんなで笑った。 みんな泣きながら笑っていた。
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