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「で、これがその《メガネ》ってヤツね」
快華が勝手にダンボール箱の中から一つの《メガネ》を取り出して、かけて遊んでいる。
「オマエ、あんまむやみにいじるなよ。それ、“ビーム”出すから」
「おーすごいすごい!」
全然聞いちゃいない。
快華のかけた《メガネ》は、内側のレンズが機械仕掛けになっており、様々なモニタや捕らえたモノ、“ビーム”の連射可能数などが表示されている。
「ほら。ちゃんと説明書読め」
「ああ・・・」
最神近は、快華から《メガネ》を取り上げ、薄っぺらな紙を渡す。
「ちぇ・・・、つまんない」
「イイから。ほら、お前らも」
最神近は、村正と紗羅沙にも、同じ薄っぺらな紙切れを渡す。
説明書といっても、安全装置の取り扱いと、“ビーム”の出し方と、各モニタの読み取りかたなどが簡単に記されたものだった。
「面白い面白い!!」
再度快華がダンボールを漁り、《メガネ》をかけている。
「おーい誠人ー」
突然、部室の扉が開け放たれる。
そこにいたのは、中肉中背、何の特徴もない高校生少年が立っていた。
瞬間、音源の分からない、ジュッという音が聞こえたと思ったら、部室へ入ってきた少年が、その場に倒れた。
「・・・!?」
「すごい!やっぱコレすごいよ!」
後ろからは、快華がはしゃぐ声。
最神近は不意にそちらへ目をやった。
すると、《メガネ》のフレームの側面へ手をやっていた快華がいた。
その手の下には、“ビーム”発射用のボタンがあるのだろう。
「お前なあ・・・」
最神近は少年を起こし、部室の中の椅子に座らせる。
「はあ・・・、はあ・・・。お前、安全装置の取り扱いはちゃんと読んだか?」
気を失っている少年の額を指差し、最神近は再び言う。
「ほら見ろコレ。ココに小さい焦げ跡があるだろ。ちゃんと安全装置を切り替えたら外傷もなく人を気絶させられるんだぞ」
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