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すると、『第三音楽室』の奥に取り付けられた準備室の扉がバッ!!と開け放たれ、三人ほど《メガネ》を付けた男女が出てきた。
何発か、一瞬の閃光と共に“ビーム”が放たれたが、村正は体を逸らして全て避ける。
さすが《元・忍術部所属》と言うべきか、村正は再度両手をポケットに突っ込み、表情を作らずに全ての攻撃を肉眼では確認できないほどの速さで左右に動き、“ビーム”を避ける。
そして、一瞬の隙を突き、一人の女子生徒に猛スピードで接近する。
「ハイハイ、ちょっと静かにしててね~」
村正は、自分の《メガネ》のフレームの側面に備わったボタンを軽い感じでポンッと叩く。
一瞬、シュインッと、金属を引っかいたような音が音楽室中に響き渡り、村正の《メガネ》の赤いレンズから、閃光が放たれ、女子生徒の体に特殊な電磁波が流れる。
それを合図に、女子生徒はその場に倒れこむ。
すると、村正は相手が女子生徒であるにも関わらず、戸惑うことなく、胸ポケットに手を入れ、《生徒手帳》を引き抜く。
そして、両サイドにいた男子生徒の一斉攻撃を受ける前に、村正は後ろへ転がるように下がる。
そして、村正はすぐさま立ち直し、男子生徒二人へ対等に立つ。
村正は、そっとフレーム側面のボタンに手を添える。
男子生徒も、すかさず村正に《メガネ》のレンズを向け、その内側に映し出されているであろうポインターに村正の姿を捉える。
村正の《メガネ》の内側にももちろん“ビーム”で撃つモノを捉えるためのポインターは映し出されているのだが、二つも無いので、獲物は一つしか捉えられない。
(・・・だが)
村正は迷わず、首を左右に動かし、ボタンを押す。
シュインッと金属を掻く音が聞こえ、《メガネ》から放たれた閃光が男子生徒二人を撃つ。
バタリと倒れた。
村正はすかさず二人の胸ポケットに手を入れ、《生徒手帳》を取り出す。
「はい三つゲットォォ!!」
村正は悪党のような笑みを浮かべ、手に入れた三つの《生徒手帳》をポケットに強引に押し込む。
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