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次の瞬間。
ギュィィィィィンッ!!という、まともに聞いたら鼓膜が確実に破れるほど高い轟音が『第三音楽室』中に響く。
カーテンの向こうの窓ガラスに数箇所ヒビが入る。
壁は数箇所傷が出来、そこら辺に置かれていたドラムの部品やトランペットといった金属製の物が歪み、様々な傷を作る。
まだ音は鳴り続けている。
村正は直立不動でポケットに両手を突っ込んでその場に立っている。
《メガネ》を装着している上、元々髪の毛で目が隠れていた村正なので、今がどういう状況なのか分からない。
常人なら耳から血を噴出してぶっ倒れているだろう環境の中で、村正はおそらく平然な表情で立っているだろう。
「騒がしいな。ちょっと静かにしてもらえっか?」
村正は、壁に備え付けられた大規模な“アンプ”に拳サイズの手裏剣を投げる。
キィィィィンッ!!と、さらに耳をつんざく音が鳴り響き、そして徐々に止む。
「ふん」
村正は入り口付近に備えられた電気のスイッチを押す。
蛍光灯の電気が点くと、結構広い音楽室の全貌が明らかになる。
そして、一番奥。
この音楽室には、奥の方に段差があり、その上が演奏の練習用舞台となっている。
そこに、所々改造を施してある“エレキギター”をストラップで肩から提げている二人の男女がいる。
「おー。なかなかやるねー」
「なんだあ?その表情。俺に喧嘩を売ってるとしか思えねえなあ」
村正は、声を放った女子生徒へ挑発する。
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