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「さて、こっからは本腰入れてお片づけだ。手間取らせんなよ?有佐」
「それはちょっと、無理かも、ね」
有佐は、隣にいる男子生徒に目で合図を送ると、お互い頭にかかった《メガネ》を目の位置まで運び、片手に持っていた“ピッグ”を、思い切りエレキギターの“弦”全てを上から下へ弾く。
ギュゥゥイィィィィンッ!!と、常人の耐え切れない、超音響が村正に壊されていなかった、他の壁やそこらに設置されている“アンプ”から鳴り響く。
“アンプ”自体が壊れないのが不思議なくらいだ。
「さっきからうるせえんだよなァ、それ」
村正は、《生徒手帳》を押し込んだのと逆のポケットに手を突っ込み、そこから飴玉ほどの小さな黒い塊を取り出す。
その小さな球からは、数センチの導火線が延びていた。
村正は《メガネ》の安全装置を解除し、その導火線の先に照準を合わせ、そして放つ。
《メガネ》からは、赤い糸のようなモノが一直線に導火線の先端に伸びていた。
導火線は燃え、そして黒い球へ向かった。
村正は、すぐ頭上に放る。
パンッ!!
と軽い爆音が響いたが、周りの轟音に掻き消されて何も聞こえない。
すると、黒い球が弾け、様々な火薬が飛び散り、全ての“アンプ”に付き、火を噴いた。
「な、なに!?」
有佐が驚愕を顔に表す。
轟音が爆音に蝕まれ、“アンプ”からの音が全て無くなる。
「ギターも燃やされてえのか?」
「こ、コレは・・・」
「・・・ふん」
村正は、有佐に近づき、そして自らの《メガネ》の安全装置を取り付ける。
そしてボタンを押す。
バタリ、バタリと、有佐ともう一人の男子生徒が倒れる。
「ったくよ。世話が焼けるぜ。最初っから俺に撃たれてりゃよかったものを」
村正は、アンプに移った火が燃え盛る前に、ポケットに入っていた小瓶に収まった液体を数滴たらした。
すると、火は、見る見るうちに小さくなり、鎮火した。
そして、男子生徒の胸ポケットに手を入れ《生徒手帳》を引き抜き、もう一方の有佐は、少し戸惑って胸ポケットに手を入れる。
手に当たったプラスチック製の《カード》を引き抜くと、そこには《軽音部》と書かれていた。
「お片づけ終了。いったん帰るか」
そう吐き捨て、村正は『第三音楽室』を後にする。
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