vs美術部

2/11
前へ
/125ページ
次へ
       1 「ここにしよ~っと」 快華は、適当なスライド式の扉を開ける。 「何、ココ・・・?」 快華の目に映ったのは、“部屋全体が真っ黄色な”『美術室』だった。 「なになになに?何なのよココ!!」 快華が興味津々な顔で、部屋の中へズンズン進んでいく。 スライド式の扉が、自然に閉まる。 快華はそのことに何の疑問も抱かず、気づけばそこは、黄色一色に染まった部屋の中心だった。 扉の内側にも黄色く塗られていたタメ、扉が閉まった今は、黄色に囲まれている。 障害物にも黄色く塗ってあるのか、部屋全体が何も無い黄色の世界に見える。 「・・・ん?ココって確か『美術室』だったよねー?」 快華は周りを見渡す。 黄色。黄色。黄色。 どこからが壁なのか、どこが出入り口の扉なのか。 もう全てが分からない。 「・・・これ、何かマズイ感じ・・・?」 今頃気づいた快華。 すでに快華は敵の術中に入ってしまったのだ。 「フフフ。一人で敵陣に乗り込んで来るなんて。貴女、度胸が据わってるわね」 何も無い黄色い空間から声が聞こえる。 「だ、誰?何処にいるの?」 「それを言うワケにはいかないわ。だって、居場所がバレたら《カード》が奪われちゃうモン」 「・・・!!アナタ、美術部の部長さんでしょ」 「あら。勘がイイんですね」 快華は、自分の《メガネ》の内側のレンズの端に小さく表示されている安全装置のON、OFFが一目で分かるモニターを見て安全装置が入っている事を確認する。 そして、フレームの横に備わっているボタンに片手を沿え、もう片方の手を腰に付けた巾着袋の中に入れる。 その中には、快華愛用の発火玩具が入っている。  
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加