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『ちょっとイイかーい』
すると、黄色い空間から聞こえてきた清楚な女子生徒の声とは別に、聞きなれた女子の声が右耳に聞こえた。
「さ、紗羅沙!?」
快華は右耳を押さえるように、イヤホンの先のような形をした小型のスピーカーを、聞きやすいように耳に押し当てる。
『あー、ボクァ《才成部》の《メガネ》のアクセスコードしか解析してないから《美術部》の部長さんの居場所は分からんが』
スピーカーから聞こえる紗羅沙の声から推測するに、何か作業をしながら通信しているのだと分かる。
所々慎重になるように、声が小さくなったり、大雑把な作業の時は声が大きくなったりする。
おそらく、パソコンのキーボードでも打ちながら通信をしているのだろう。
『快華、アンタちゃんと誠人の言った事聞いてた?』
「え?」
快華はさらに紗羅沙の声に意識を集中させる。
『《部活動バトルロイヤル》開催中は、校舎のドコを壊しても文句言われないんだよ?』
その言葉を徐々に理解し、快華の目がどんどん輝いていく。
「学校、壊してイイの!?」
ストレートだが、まあそういう事だ。
『え、うん。だから思う存分暴れてよし。でも、暴力は禁止らしいから、そこら辺は考慮しなきゃ駄目だよん♪』
「うん、うん!分かった!!」
快華の瞳がギランギランに輝く。
『そして最後に一つ』
「なに、紗羅沙?」
快華は、何処から来ているか分からない“ビーム”を避けながら駆け回る。
相手が機械に弱いのか、ポインターで快華を捕らえていないようだ。
それが幸いして、今の今まで“ビーム”は当たらなかった。
しかし、『下手な鉄砲数撃ち当たる』という言葉があるように、どんなに機械になれていなくとも、デタラメに何発も連続して撃たれれば、その内当たって気絶してしまう。
しかし《メガネ》にも“連射可能数”というモノがあり、連続して“ビーム”を撃ち出すのにも限界がある。
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