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「だからね、ウチの部で大量に扱ってるこの“ペンキ”が貴女の《メガネ》に掛かったら、どうなるかは明白でしょう?」
海利の余裕の笑みが、快華の表情をさらに険しくする。
「ここで終わりよ。敵陣にたった一人で、か弱い女の子が乗り込んで来たのがそもそもの間違い」
海利は腰に手を当てる。
それとは逆の手で、その長い髪をサラッと払う。
完全に勝ったと言わんばかりの笑み。
「汚れちゃうけど、仕方ないわね。何せ廃部を賭けてるんだもの。全力で掛からせてもらうわ」
(あった!これだッ!!)
快華は、手の感触を確かめ、目的の物だということを確信する。
あとはタイミング。
下手に動けば、一斉“ビーム”は免れない。
「それじゃ、残念だったわね。貴女はここでアウトよ!!」
その海利の言葉を合図に、部員全員がバケツを構え、快華にそのペンキを引っ掛けようと、思い切り前方に突き出す。
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