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煙が全て『美術室』の外へ流れ出たのを確認すると、快華は警戒心を削がないよう、ボタンに手を添えたまま『美術室』に恐る恐る入る。
『美術室』には、所々燃えカスになった黄色い紙と、紙がなくなった所の床や壁に、ペンキが塗りたくられていた。
正確には、ペンキが引っかかったのだが。
倒れている部員のそばにはバケツが転がっていて、部員達の制服の所々が黄色く染まっていた。
部員達が倒れているのは、煙幕の中、パニック状態になってお互い《メガネ》を乱射したからだろう。
部長である海利も誰かに撃たれたのか、黄色い床に倒れていた。
「シッシッシ。あんなに威勢がよかったのにね」
快華は倒れた海利をさげすむように見下す。
ニカッと形成された笑顔に、快華は自分の鼻を親指でこする。
指に付いていた黄色いペンキが、鼻の下に付く。
快華はそれに気づかない。
「さ~てと」
快華は辺りを見渡す。
計7人の《美術部》の面々が床に昏倒している。
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