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こういう、仕切ってくれる人材が一人でもいると、生徒会からしても助かる。
生徒会長も淡々と話を進められるのだから。
「ルールはいたって簡単です。各部活の部長の方々には、このカードを渡します」
と言って、生徒会長は足元にあった紙袋の中から、100枚の、トランプほどの大きさのカードを取り出した。
「このカードは、一枚ずつ、部活の名前が記されています」
生徒会長は、一枚めくって部長達に見せる。
そこには、《野球部》と書かれていた。
「皆さんにはこれから、自分の部活の名前が記されたカードを受け取ってもらいます」
そのカードは、副会長を始め、会議室のテーブルを囲む部長達の手に、それぞれ自分の部活の名前が書かれた、プラスチック製のカードが行き渡る。
「さて皆さん、カードは行き渡りましたか?」
すると、会長は一息ついて
「さあ、これで、皆さんには何をしていただくか、もうお分かりですね?」
どの部長もゴクリとのどを鳴らし、その場に緊張が走る。
「《部活動バトルロイヤル》とは、大規模な“陣取り合戦”です。他の部のカードを奪うことで、その部を廃部にし、カードを奪われた部は、その時点でまだ部に所属している部員全員、カードを奪った側の部の部員となる」
カードを奪えば部員が増え、奪われれば自らの部がなくなる。簡単な陣取りゲームだ。
「運動部と文化部じゃ、力や知恵の差があるでしょう。なので、《部活動バトルロイヤル》では、自らの部活に関わりのある物は使用可能とします。そして今回、全員平等に争えるよう、部員全員には、この《メガネ》を配ります」
《メガネ》。それは、最近出来た大企業『電子精密機器ナナカマド』という大きな会社が開発したと噂の、近未来的なものだ。
しかしこれは、少し問題が発生したため、発売中止となった。
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