第2章

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それから七年後の大暦1619年、かつてのギルニア王国南東の端にあたるロフティード半島。 そこを中心とした国、ヘルコーロは、頻発する内乱に荒廃しきっていた。 かつて港町として栄えたコーロディア、南部のヴェルモース岬と海を挟んだ向かいのマイシュー。 至る所瓦礫の山、廃墟と荒地に蝕まれていた。 北部のフィーダル岬の先端に位置し、大東洋の島々を臨むカルナスも例外ではなく、かつての荒れようは半端ではなかった。 そこにクリスティア議会は、国内随一の実力を誇るセーム兵団を送った。 アルバートの所属兵団である。 岬の崖の上、今にも崩落しそうな要塞の屋上、その先端に、今や23歳にして警備隊長にまでなったアルバートがいた。 「西方カルナス市街、異状なし」 「北方対岸アーディン方、異状なし」 「東方南大東洋海域、異状なし」 「南方同じく南大東洋海域、異状なし」 見張りの点呼を続けること二時間、部下に交替を言い渡し、自らは下の休憩室へ。
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