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「名前は?」
運転席でハンドルを握って、シンが訊いた。
「知らんし。」
横を向いたまま、ぶっきらぼうに、あたしは答えた。
─ なんで教えなあかんねん‥
もぉ、どーでもイイし‥
助手席のドアは開かなかった。
「無理やで。開かへんようにしてるからな。」
「変態‥。」
さっきの赤信号で、逃げ出そうとしたけど無駄だった。
助かるかもなんて、一瞬でも期待したことが、今更ながら馬鹿らしい。
車高の低い改造車は、けたたましい唸り音を上げ、夜の山道を走り抜けた。
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