chapter.01 変態

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  「名前は?」 運転席でハンドルを握って、シンが訊いた。 「知らんし。」 横を向いたまま、ぶっきらぼうに、あたしは答えた。 ─ なんで教えなあかんねん‥   もぉ、どーでもイイし‥ 助手席のドアは開かなかった。 「無理やで。開かへんようにしてるからな。」 「変態‥。」 さっきの赤信号で、逃げ出そうとしたけど無駄だった。 助かるかもなんて、一瞬でも期待したことが、今更ながら馬鹿らしい。 車高の低い改造車は、けたたましい唸り音を上げ、夜の山道を走り抜けた。  
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