chapter.01 変態

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  「シンさん、遅いな。萎えるやんけ。」 あたしの右側の席を陣取った男が、下品な笑い声を上げた。 つられて後ろにいた男も、嘲笑するかのような笑い声を上げる。 慧は、前を向いたまま振り向こうともしない。 真っ暗な山道に、時折、通り過ぎる車のライトを、黒い窓から目で追いながら ─ 助けて‥ ココロの中で何度も強く祈っては、虚しさを感じていた。 「あ、来たんちゃうか?あれ、そうやろ?」 「暗いから分からんな。」 体をシートから乗り出して、リアウィンドウを覗き込む二人の会話に、あたしは身震いがした。  
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