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「シンさん、遅いな。萎えるやんけ。」
あたしの右側の席を陣取った男が、下品な笑い声を上げた。
つられて後ろにいた男も、嘲笑するかのような笑い声を上げる。
慧は、前を向いたまま振り向こうともしない。
真っ暗な山道に、時折、通り過ぎる車のライトを、黒い窓から目で追いながら
─ 助けて‥
ココロの中で何度も強く祈っては、虚しさを感じていた。
「あ、来たんちゃうか?あれ、そうやろ?」
「暗いから分からんな。」
体をシートから乗り出して、リアウィンドウを覗き込む二人の会話に、あたしは身震いがした。
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