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少し視線を逸らせば、すぐそばにヒナちゃんの顔がある。溜息をつきたくなるような、憂いを帯びた表情。
繊細な髪から漂う爽やかなシャンプーの香りが、ほのかに鼻腔をくすぐる。
――ヒナちゃんてば、すごい真面目にやってる。
真剣にノートとにらめっこしてるヒナちゃんの横顔をこっそり眺めていたら、その柔らかそうな頬に口づけたい、なんて変な欲求が沸き起こってきた。
そんな思考を振り払うようにぶんぶんと顔を振りつつも、そんなことでこの気持ちが失われるわけがないと自分でも分かっていた。
だって。
「好き」って気持ちは、たとえ世界が滅びたって、決して消えることはないのだから。
ヒナちゃんの顔をずーっと見つめていたい、って。私はそう思った。
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