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「楓のけちー」
ヒナちゃんはまだぶつぶつと文句を言っていたけれど、私はそれを華麗にスルー。
「……いいよ、楓がそのつもりなら、私にも考えがあるから」
女性らしい曲線を描く胸を張り、ヒナちゃんは自信満々に告げる。
「私、自分の力だけで勉強してやるもんね。それで、それで……そのぉ、き、期末テストで……楓を追い抜いてやるからっ」
えらそうに胸を張っていたわりには、その台詞は非常にたどたどしく、勢いで口走ってしまった感がその節々から滲み出ていた。
ヒナちゃんがそんなだったから、私はつい吹き出してしまった。
「ふ、ふふっ。ヒナちゃん、涙目じゃない」
ヒナちゃんの双眸には、うっすらと液体が浮かんでいた。
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