0日目

2/9
前へ
/76ページ
次へ
  「好きです!付き合って下さい!」  目の前で頭を下げてくる男に、如月 美優(きさらぎ みゆう)は困ったように、眉を寄せて口を開く。 「ごめんなさい、誰かと付き合う気はないの」 「そう…ですか」  肩を落として去って行く男の背を見送って、美優は大きくため息をついた。 「「よく知りもしない男となんて付き合えないっての」」 「ん?」  独り言のつもりが何故かハモったことに、美優は一瞬首を傾げて、呆れたように振り返る。 「紫…」 「えへへ…、告白シーン見ちゃた~…」  頬に手を当ててニヤニヤと笑うのは、水城 紫(みずしろ むらさき)。  中学生時代からの親友と言うよりは悪友に近いかもしれない。  親友と言うには、美優は紫のことを良く知らない。  紫は、財閥の御曹司やプロのダンサー、実はまだ高校に入るような歳ではない、などと色々な噂があり、美優自身もどれが本当かも知らないと言う謎な人物でもあるのだ。  
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

265人が本棚に入れています
本棚に追加