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「好きです!付き合って下さい!」
目の前で頭を下げてくる男に、如月 美優(きさらぎ みゆう)は困ったように、眉を寄せて口を開く。
「ごめんなさい、誰かと付き合う気はないの」
「そう…ですか」
肩を落として去って行く男の背を見送って、美優は大きくため息をついた。
「「よく知りもしない男となんて付き合えないっての」」
「ん?」
独り言のつもりが何故かハモったことに、美優は一瞬首を傾げて、呆れたように振り返る。
「紫…」
「えへへ…、告白シーン見ちゃた~…」
頬に手を当ててニヤニヤと笑うのは、水城 紫(みずしろ むらさき)。
中学生時代からの親友と言うよりは悪友に近いかもしれない。
親友と言うには、美優は紫のことを良く知らない。
紫は、財閥の御曹司やプロのダンサー、実はまだ高校に入るような歳ではない、などと色々な噂があり、美優自身もどれが本当かも知らないと言う謎な人物でもあるのだ。
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