265人が本棚に入れています
本棚に追加
「覗き見なんて趣味が悪いわよ」
美優がねめつけるように言えば、紫はきょとんとした表情を浮かべて、すぐに笑った。
「違うよ~、美優ちゃんが男の子から呼び出されように、僕も女の子にこの近くに呼び出されて、今はその帰り道だったんだよ~」
「あぁ、そう。紫君はモテることで」
「美優ちゃんには適わないよ~、「美しく優しい」、正に名前の通り学園のアイドルでしょ~。今週だって告白されるの何回目?」
「…三回よ…」
うんざりとした表情で美優は答える。
その答えに紫はしたり顔で、笑う。
「ほらね~。僕は今月初めてだもん。…でも、どうして付き合わないの?」
「何が?」
「だってさっきの人、サッカー部の元主将でしょ?すんごい女の子に人気あるし、大学にも推薦で受かってるし、将来的に見ても有望株だよ?美優ちゃんだってさ~、付き合うならそういう人にしたいとか思わないの?」
「思わない」
美優はキッパリと告げる。
最初のコメントを投稿しよう!