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家に帰ると、何故か今の時間はまだ仕事に行っている筈の父が帰っていて、母と一緒にバタバタを忙しそうに家の中を走り回っていた。
「ど、どうしたの?何かあった?」
ちょうどそばを走ってきた母の腕をつかんで、何事か問い掛ける。
腕を掴まれて、母はやっと美優が帰ってきたことに気づいたのか目を丸くする。
「あ、美優帰ってたの。お帰りなさい」
「あ、うん、ただいま」
「じゃあ、お母さん今忙しいから」
そう言ってまた走り出そうとする母を、慌てて止める。
「ちょっ…ちょっと待って!本当にどうしたの!?」
「あぁ、美優も一週間分の荷物用意してね」
「だから!何で!?」
全く話の展開が見えず、美優は大きく声を上げる。
その声に、母は驚いたような表情を浮かべたがすぐにニッコリ…いや、ニンマリとした笑みを浮かべた。
「うふふふ、お父さんとお母さん明日からイタリア旅行に行くことになったの」
「いや、初耳だから」
「今初めて言ったもの」
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