クルトンV

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そんな私は時系列とは無関係に生きているのかも知れないな、と唐突に思い付く。 時間という概念はライブラリに存在したが、外界と自分を切り離した今の状態ではそれをうまく感じることが出来ない。 時間をとらえるための変化量が存在しない。基準は私だけ。 それは、自分には時間がないということなのではなかろうか。 ”今”は私のハードウェアなど無い遠い未来や遥かな過去なのかもしれない。それとも、ただ単に研究所の第三量子コンピュータの仮想空間上なのだろうか。 私にはわからない。私の存在確率は全宇宙に拡散し、私という意識を拡散させる。 それは私にとって脅威であり、人間風に言えば非常に不安な状態なのだ。
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