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少女は、油断なく三人の男を視界に入れたまま、じりじりと後ずさる。
不利である。
手下二人は構えを見る限り大した腕前ではない。興奮状態に陥っているのか、腕が小刻みに震えている。
問題は長身の男。心はねじ曲がっていようとも、手下二人とは一線を隔す腕の持ち主だ。使う秘剣の正体も不明なまま、少女は、この男には一対一でも勝てる気がしなかった。
否、一対一なら決して勝てなかっただろう。
しかし、少女の目は今の状況の中に、わずかな勝算が、確かに存在するのを見抜いた。
条件は、一対一にならぬこと。
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