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唐突に、少女は左手の男に仕掛けた。
左前方に右足を放り込み、捻りをつけて豪快に、男の左肩口へ斬り下ろす。袈裟斬りである。
男はかろうじて後ろに大きく飛び、これを避ける。胸板を掠めて過ぎる一撃必倒の太刀風に、顔を青くして戦々恐々とする。
が、少女が左に身を捻って斬りつけたため、その背中が、残る右手の男の目の前にさらされる。
男が怒声と共に、その背中に刃が振り下ろされる。
瞬間、少女の身体が、渦を巻いた。
初太刀の勢い、捻り込む動作をそのままに、踏み込んだ右足を支点に身を翻す。男の剣は空を切った。
少女が回転を終えたとき。
一人は恐れ動けず、
一人は空振りに体勢を崩し、
一人は高みの見物を決め込み、未だ刀を抜かず。
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