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その後、30年近くが過ぎた。
久しぶりに届いた同窓会の通知。全クラス合同である。
親しい友人と連絡を取り合い、会場に着くと懐かしい仲間の顔が並んでいる。
挨拶をするだけでも忙しい。
旧2-5の面々も集まってきた。
ひとしきり歓談をしていたが、突然、壇上に駆け上がった男性がいた。
「みんな!聞いてほしいんやけど、俺ら元2年5組ではクラスの歌を決めてよく唄ってたんです。
それを今日、ここにいるみんなで唄いたいと思うんですがいかがでしょうか。曲はみんな知ってる青春時代です。うたってもらえますか?」
と言ったのだ。
その男性は、あの2-5のリーダー格の彼だった。
会場のあちらこちらから拍手がわき起こった
来賓の先生方も拍手をして下さっている。元の担任も。
「ありがとうございます。そしたら、もと2-5の人たちはひときわ頑張って唄ってや。はい、さん、し」
カラオケもなく、アカペラで彼の指揮に合わせて
クラスの歌の青春時代を大きな声で唄った。
走馬灯のように、高校時代が蘇る。
周りにいるのは確かに酸いも甘いも噛み分けた50手前の男女なのに、みんなの顔が学生に見える。
泣いたり、笑ったり、一緒に過ごした時間が蘇る。
二度と戻らないと思っていた様々な感情が蘇る。
この歌ってこんな力があったんだ・・・
唄いながら、横にいた友人と微笑みを交わす。気付くと私の前にマイクが差し出されていた。
わたしは心をこめて私たちのクラスの青春時代を唄った。
ありがとう。
こんないい曲をクラスの歌にしてくれて。
ありがとう。
こんないい曲をつくってくれて。
ありがとう。
今日、ここでみんなでうたわせてくれて。
何故か、鼻の奥がツーンとした。
了
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