エピローグ

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又、鏡に顔を映す。 いや、鏡だけではない。 顔が、そして姿が写れば、街中のウインドウでも立ち止まって、ついつい、自分の姿を眺めてしまう。 そこに映るのは・・ 髪は殆ど白くなり、額には三本の深い皺がはっきりと走っている初老を過ぎた、背中も丸くなりはじめた男の姿だ。 俺はそれを確認し、深い溜め息交じりに 『世界を変える代償か・・』と呟く。 初老に見えても、俺は未だ25才でしかない。 何故、還暦過ぎに見える様になって仕舞ったのか、その一部始終を書き遺しておこうと考えて、こうして筆を取ったのだ。 恐ろしい勢いで老化が進んでいる理由は、はっきりとしている。 俺は、こちらの世界では、他人から見れば寝てしまったとしか見えない状態で、実際には起きて活動し、別の場所で、必死に新しい世界を創っているからだ。 いや、真に有るべき歴史への回帰を、別な場所で計っている。と、言うべきなのかも知れない。 俺の精神は、次元の異なる二つの世界を往復しながら、一時も休まずに一年数カ月を過ごして来た。 その精神の疲労が、肉体を急速に老化させているのだ。 この急速な肉体の衰えは、早い時期の死を意味するのかもしれない(多分そうだろう)し、死後、あちらの世界への関わりが、今の状態から、どの様な変化を起こすのか、それも解らない。 あちらの世界の変革は、未だ完成もしていないのだから、死に因って未完成に終わったとしたら、大きな悔いが残る。これは言う迄も無い事だ。 だから、これを読んだ誰かが、俺の死後にそれを後を受け継ぎ、完成させてくれる可能性をも祈りつつ、今これを書いて居る。 読む皆さんに取っては、これは単なる架空の歴史を書いただけの¨ラチも無い¨駄文であったとしても、俺にとっては、唯一の真実の記録なのだと理解して欲しい。 又、歴史が変わり、それがこちらの世界に反映され、日本人の人情や自然との対応、思いやりの心等を重んじた、かっての価値観への回帰が成るか成らないのか、その判断は、これを読んで頂いた皆さんに任せようと考えている。
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