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今日も少女は教室の隅で本を読んでいた。
友達がいない訳ではないが、いつも大体休み時間は本を読んでいる。
「麻佳ちゃーん」
自分の名を呼ぶ声に本を読んでいた少女、緑川麻佳は顔を上げた。
「なあに、りぃちゃん?」
麻佳に話しかけたりぃちゃんこと山内里穂はいつもニコニコしていて、一緒にいると気持ちが落ち着く。
だから麻佳はこのりぃちゃんが大好きだった。
「あのね、数学さ、宿題出てたよね?あたし、エヘヘ、やるの忘れちゃっててー…。だからそのぅ、麻佳ちゃん、ノート見してぇ…?」
「いいよー、あ、でもほとんど間違ってるかも。なーんて。」
麻佳が冗談めかして言うと、りぃちゃんはぷう、とふくれた。
「あー、麻佳ちゃんたらそんなこと言ってぇ、この間のテスト学年で一番だったじゃーん。」
「それくらいしか取り柄がないからだよ。ほら、早く写さなきゃ。先生きちゃうよ?」
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