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麻佳が教室に入った時、時計はまだ8時29分だった。
ギリギリセーフだ。
「あ、朝っぱらから疲れたあ…。」
麻佳がカバンを机に置きながら、荒れた息と共に呟くと、隣の席の男子、加藤 達也が話しかけてきた。
「おはよ。珍しいね、緑川がこんな時間に来るなんて?」
加藤達也は麻佳が緊張しないで話せる数少ないクラスメートだった。
「あー、おはよう加藤君。今日はちょっと時間配分間違えちゃって。」
そう、時間配分を間違えた。朝ご飯の時間が長かった。
「フーン。あ、センセー来たよ。」
「あららホントだ。ありがと。」
麻佳の席は一番後ろの廊下側だ。だから先生がくるのを早く知る事ができる。
カバンを机から下ろすと
今日の学校生活の始まりを告げるチャイムが鳴った。
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