君といると楽しいからね

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場所は変わらず何時もの教室。どの学校とも大して変わらない清潔感+1された平凡な教室だ。 そんな教室に定期的に鳴るあの鐘。全ての授業を終わらす為のあの鐘がたった今鳴り響いた。 その音は若干不快になるがその反面、授業と言うしがらみから解放されたと言う気持ちがでかく、俺の中ではリンゴを二つに割り真ん中で腰振りながら踊るほど舞い上がっていた。 一時間目の終了を告げた鐘ならば踊りはしないが、今の鐘の音は言い換えると昼休みの始まりを告げる鐘なのである。 余りの嬉しさにミカン割って後ろで猫も踊ってるわ。 俺は颯爽と席から立ち上がり女子どもに囲まれてる彼女の席へと歩みよる事にした。 揚々としているが、とてつもない失敗に今気付いてしまった。 話題考えてなかった。 これが漫画なら背景に稲妻が走っていただろう。しかし、現状そんな悠長なことを言ってる場合では無い。 何故なら彼女は今すぐにでも友達と弁当を食べに教室から出ようとしているのだ。 教室内で会話を広げるなら『あ、世間話? 微笑ましいねぇ』程度で済むが、それを態々彼女の後を付いて行き、友達とわんちゃかやっている中、話しかけるのは基本人に気付かれないとはいえ、流石に気まずいのである。 故に此処から外に出さない方が良いと言う判断は俺の経験談が物語っているのだ。 取り敢えず適当に話しかけよう。何でも良い。とりあえず引き留めてから何か盛り上げればいい。 好きなものは何ですか的な話題で会話に繋げればいいのだ。 彼女はまだ椅子に座って友達と会話している。外に出ていない今がチャンス。
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