君といると楽しいからね

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「日向さん。ちょっと良いか?」 第一声。中々自然な振りなのでは? と自己評価点数七十二点。これでも結構高得点だ。 因みに今までで最悪なのは噛むこと。誰も気付かないから良いけど本人としては恥ずかしい。 「誰か喋った?」 日向の友達そのBが辺りを見回しながら別の友達に聞き返す。 友達は何も言ってないよと首を横に振る。そんな感じで周囲の人間に質問のリレーを繰り返していた。 本人自身は大した反応を見せず、当人は気付いていないようであった。 日向の友人よ。今のは俺が喋ったのだ。しかし、流石俺。言葉すら認識されない悲しき俺クオリティ。 さて、ここでお決まりのパターンで流されてしまったが、ここで屈するほど俺は弱くない。 何故なら既に経験済みだからだ。失敗と挫折こそ人を成長させる調味料なのさ。人から無視され続け、教室の隅で口一つ開かない俺の心はそう脆くは無い。 幾ら俺の影が薄いと言っても、必ずしも気付かれない訳では無い。 常人の三倍騒げば気付いてくれるしな。しかし、何もしてないと誰も気付いてくれない。
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