君といると楽しいからね

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だから敢えて騒いで気付かせるも有りだけど、気付かれたら周りの女子が 『キャー恐い!』 『ケダモノよー』 『ヤンバルクイナよー』 とか言ってくるに違いない。 ……誰がヤンバルクイナだ。確かにヤンバルクイナは目が怖いけど。 ふと日向は何かに気づいたかのような顔で俺の方に顔を向けた。 「ちょっとー。何か変な音が聞こえる気がするんだけどー」 日向のギャルっぽい友達の一人が耳を押さえながら嫌そうな声を出す。えぇと、名前なんて言ったけ。桜 紅葉だったか。ギャルっぽいと言ってもコギャルレベルだけどな。金髪に染めてそれっぽい雰囲気を出しているだけだ。肌は白いし、顔は良いのに勿体ない。  それはともかくこのままでは俺をベースとした都市伝説的な何かが生まれそうだ。  そんな間違った方向で有名になりたくはない。 「変な音がするし、早く食べに行こう的なー」 「ん? あぁ、そうだね」  桜が日向を引っ張ってクラスの外へ出て行く。其れにつられて日向の周りにいた女子達全員が移動を始める。中には男子もいて実に羨ましい。 「ちょっと待った!」 そう叫んでみるも気づかれること無く幾らかの彼女らの世間話を最後に、ガチャンと扉を閉められた。残るは呆然と立ち尽くす俺と切なさだけ。
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