君といると楽しいからね

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特に何か意識することなくガチャリと扉を開ける。大体扉開けると言う行為に意識する筈がない。意識するのは学園小説の主人公が転校して来る時ぐらいだろう。 そういえば携帯小説の大半は主人公最強設定らしいな。受ける奴には受けるけど俺はそんなの認めない。どこぞの敵には一回戦目は負けるけど、二回戦目では苦戦しつつも勝利を手にする。と言ったパターンの方が盛り上がると言うもんだ。 特に修行しても居ない奴がいきなり上級の敵と遭遇しても特に慌てる事も無く『俺の本気で一瞬で蹴散らせてやるぜ!』とか言って『喰らえ! 覇王級禁断古代魔法『終焉ノ選択(オルタナティブエンド)!』』とか言って大技出して一瞬で倒すのは盛り上がりに欠けると言うものだ。 「おはよう、月影君」 「うおぉほほぉぉぉおおおおっ!」 俺が驚くのは脳内演説に没頭していたと言うからでは無い。純粋に人が話しかけた事に驚いてしまったんだ。それ以前にこんなに叫んだのは久しぶりだ。祖母が祖父の髪を刈るのにチェーンソーを取り出した時以来だ。どんな恨みを持ったら散髪に工業用の道具を取り出すと言うのだ。
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