4号館の彼

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使うことなんて年に1回もない空き教室。 窓から差し込む真夏の太陽がジリジリと照りつけるが,この教室は寒いぐらいに冷房が効いてる。 あたしはなんにも考えず,窓の外を眺めていた。 ──ガラッ 急に教室のドアが開き,あたしは少しビックリした。 「詩歩,またいたんだ」 ドアを閉めながらあたしに声をかけた。 「先輩ッ!」 嬉し過ぎて声が裏返った‥ 恥ずかし‥ 「ハハッ‥そんなに俺と会いたかったの?」 大きな目であたしを覗き込みながらふざけた口調で言った。 「うん♪」 あたしもふざけた口調で返してやった。
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