- あの時の宿題 -

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私達は一年に一度の北海道旅行を終え、飛行機で東京に帰った。 一週間後…… 秀哉は成田空港から日本を飛び立った。 見送りに行った私は秀哉の乗った飛行機をいつまでも眺めながら何と無く胸騒ぎを感じていた。 秀哉が南アフリカに行ってから、毎日電話が来る。 「いや~こっちは暑いよ!」 「意外に野生動物はいない!保護地区に行かないと見れないらしい」 「今日からレアメタル鉱山の現地に移動する。」 「今日鉱山の傍の林で象の群れを見たよ」 「現地の宿泊施設は酷いもんで、虫が多くて夜眠れない」 「今日鉱山で落盤事故があって、現地の作業員が8人亡くなった……」 「日本から一緒に来た菅原課長がもう三日も熱が下がらない……これから病院に連れて行く」 「いやぁ参った!作業員達が労働環境の改善を希望して全員で事務所に押しかけて来た。課長は入院してるし、俺と通訳しかいなかったから大変だった」 毎日来ていた電話が二日に一回になり、三日に一回になり、気がつけば、私からかける事が多くなり、彼が出ない時も増えて来た。 「嘘つき!毎日電話するからって言ってたのに……」 私は繋がらない携帯を見つめながらぼやいていた。 「きっと忙しいんだろうなぁ。よし!電話代もかかるし手紙にすっか!」 私はそれから手紙を出すようにした。
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