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「よお!一年ぶりだな……元気か?」
年末……一年ぶりに会う登山仲間達。
みんなが秀哉の事を思いながら私に気を使っているのが良く解った。
大手居酒屋の座敷の個室。
私の隣には一つ年上の三上先輩が座っていた。
実は秀哉と付き合う前に三上先輩からも猛烈にアタックされていた時期があったが、イケメンでちょっと軽い感じの三上先輩は私には合わず、秀哉を選んだのだった。
やはり、秀哉の事もあって、例年のような盛り上がりも無く、会は散会する。
駅に向かって歩く私を、三上先輩が追いかけてきた。
「陽子!ちょっと二人で軽く飲まないか?秀哉の事……もっと話したいんだ……みんなはさ、あいつがもう死んじまったって決めつけてるけど、俺はそうは思わない!あいつの事だ、きっといつか帰って来るんじゃないかと思ってさ」
私は三上先輩の言葉に嬉しくて涙が溢れて来る。
私がずっと思ってた事だった。
三上先輩の胸に顔をうずめて、私は泣いた。
その後二人で近くのバーに行き、閉店まで秀哉の事を話した。
学生時代の事。
付き合い始めてから。
秀哉が私にプロポーズをしようとして私がおあずけにした事。
私は話したかった事を全て三上先輩にぶつける。
三上先輩は優しい表情で根気よく私の話しを聞いてくれるのだった。
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