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「野上さん、また来ますね。身体が辛くなったら、ナースコールしてくださいね。」
「はい。ありがとうございます。」
尋人は、ふわりと微笑む。また澪も微笑む。尋人と同室の患者さん達が微笑ましく見ていた。野上さんは秋月先生に気があるのかな、と。
澪が病室を出ようとした時、小さな子どもが病室に入ってきた。
「みおちゃんせんせぇ~。」
「美玖ちゃん。どうしたの?」
美玖は澪に抱きついた。
「けいじくんに、ここにいるってきいたの。それでね、けいじくんにつれてきてもらった。」
「そっか。」
澪は優しく美玖の頭を撫でた。
「あっ!ひろとくんっ!」
美玖は澪から離れ、尋人の元へと急ぐ。
「美玖ちゃん。」
尋人は、ベッドから降り、しゃがみ、美玖を抱きしめる。尋人はきゅっと抱きしめ返す美玖が可愛らしいな、とさえも思える。いつか美玖のように可愛らしい子が欲しいとさえ、思い描いてしまう。
「今日はおめかししてるけど、どこかにお出かけ?」
「きょうはいえにかえれるの~。」
「良いね。久々に家に帰れるから、ご馳走かな?」
「うん。ママがみくのすきなハンバーグつくってくれるの。」
「ハンバーグかぁ、いいね。いっぱい食べてもっと元気にならなきゃね。」
「うん。げんきになる!じゃあ、ひろとくん、ばいばい!」
「バイバイ。」
「みおちゃんせんせぇ、つれてって。」
「一緒に行こうか。じゃあ、野上さん何かあったら、ナースコールを押してくださいね。」
「はい。」
澪と美玖は病室を出る。
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