第一話

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「野上さん、また来ますね。身体が辛くなったら、ナースコールしてくださいね。」 「はい。ありがとうございます。」 尋人は、ふわりと微笑む。また澪も微笑む。尋人と同室の患者さん達が微笑ましく見ていた。野上さんは秋月先生に気があるのかな、と。 澪が病室を出ようとした時、小さな子どもが病室に入ってきた。 「みおちゃんせんせぇ~。」 「美玖ちゃん。どうしたの?」 美玖は澪に抱きついた。 「けいじくんに、ここにいるってきいたの。それでね、けいじくんにつれてきてもらった。」 「そっか。」 澪は優しく美玖の頭を撫でた。 「あっ!ひろとくんっ!」 美玖は澪から離れ、尋人の元へと急ぐ。 「美玖ちゃん。」 尋人は、ベッドから降り、しゃがみ、美玖を抱きしめる。尋人はきゅっと抱きしめ返す美玖が可愛らしいな、とさえも思える。いつか美玖のように可愛らしい子が欲しいとさえ、思い描いてしまう。 「今日はおめかししてるけど、どこかにお出かけ?」 「きょうはいえにかえれるの~。」 「良いね。久々に家に帰れるから、ご馳走かな?」 「うん。ママがみくのすきなハンバーグつくってくれるの。」 「ハンバーグかぁ、いいね。いっぱい食べてもっと元気にならなきゃね。」 「うん。げんきになる!じゃあ、ひろとくん、ばいばい!」 「バイバイ。」 「みおちゃんせんせぇ、つれてって。」 「一緒に行こうか。じゃあ、野上さん何かあったら、ナースコールを押してくださいね。」 「はい。」 澪と美玖は病室を出る。
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