81人が本棚に入れています
本棚に追加
「翔太郎君をこのまま延命措置を施すか、ぞっ…。」
澪が「臓器提供をするか」と言おうとした時、充が被せるように言う。
「もう…何も言わなくていい。澪ちゃん…、辛かっただろう…。医者の務めを果たそうとしてくれたんだろう…。」
優しい言葉に涙。
「臓器提供をするか、しないかを、真里とよく話すよ。」
「澪ちゃん…。お願いなんだけど、暫く3人で居させてくれるかしら。」
「はい…。」
臓器提供。本人の意志、家族の意志がなければならない。澪は婚姻を結んでいなかった為、決断出来ない。決断出来るのは、執刀するか、しないかだ。
医局に戻った澪は、力が抜けたようにソファーに座る。また一度、ナースステーションに戻っていた慶次だが、澪の様子が気になった為、医局に居る。澪の横に座り、横顔を盗み見る。
暫く沈黙が流れたが、破られた。
「秋川先生がどんな決断をしようと、僕はずっと味方でいます。ただ、後悔しないで下さい。」
「野宮君…。」
ありがとう、と涙声で。
最初のコメントを投稿しよう!