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コンコン、と医局の扉をノックする音が聞こえる。
「どうぞ。」
看護師が入ってくる。
「失礼します。山本さんのご両親からお話があるそうです。応接室にお呼びしてます。」
「分かりました。すぐに行きます。」
後から慶次と澪は医局を出る。
応接室の扉をノックする。
「失礼します。秋川です。」
席に着くと、澪からではなく真里から話し出した。
「澪ちゃん。充さんと話し合ったんだけど、臓器提供します。」
「真里と話し合ったよ。それに、翔太郎とも…ね。」
「…分かりました。」
頭では分かっていても、心が追いつかない。翔太郎の恋人である前に、医者であるという事も理解しているが、理性より感情が勝ってしまう。
「翔太郎、前に言っていたわ。『移植されるなら、澪にして欲しい。』って。」
「澪ちゃん、どうか澪ちゃんの手で移植してくれないかな?」
「っ…。」
澪は黙って俯いてしまう。
「澪ちゃん。翔太郎から預かってるものがあるの。」
これなんだけど、と真里は澪に差し出す。
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