第二話

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コンコン、と医局の扉をノックする音が聞こえる。 「どうぞ。」 看護師が入ってくる。 「失礼します。山本さんのご両親からお話があるそうです。応接室にお呼びしてます。」 「分かりました。すぐに行きます。」 後から慶次と澪は医局を出る。 応接室の扉をノックする。 「失礼します。秋川です。」 席に着くと、澪からではなく真里から話し出した。 「澪ちゃん。充さんと話し合ったんだけど、臓器提供します。」 「真里と話し合ったよ。それに、翔太郎とも…ね。」 「…分かりました。」 頭では分かっていても、心が追いつかない。翔太郎の恋人である前に、医者であるという事も理解しているが、理性より感情が勝ってしまう。 「翔太郎、前に言っていたわ。『移植されるなら、澪にして欲しい。』って。」 「澪ちゃん、どうか澪ちゃんの手で移植してくれないかな?」 「っ…。」 澪は黙って俯いてしまう。 「澪ちゃん。翔太郎から預かってるものがあるの。」 これなんだけど、と真里は澪に差し出す。
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