第二話

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真里からある物を渡され、それをじっと見つめる。封筒である。おそらく手紙だろうと思い、内容に想像がつく分、中々開ける事が出来ない。 「澪ちゃん。気が向いたらでいいから、読んであげてちょうだいね。」 はい、と弱々しく頷いた。 「改めて言います。私達、山本は臓器提供の意思を示します。澪ちゃん、いえ、秋川先生。どうか、どうか、翔太郎をよろしくお願いします。」 山本夫妻は毅然として立ち、頭を深く下げた。また背中が震えている。毅然としていても、愛しい我が子が亡くなるのだ。やはり涙してしまうだろう。 頭の中でぐるぐる考えて、うじうじ悩んで。今は恋人としてではなく医者として、勇気を出した誠意あるこの気持ちに応えたいと思った。 「分かりました。私がお受けします。私にやらせて下さい。」 「ありがとう。澪ちゃん。本当にありがとう。」 そう言って柔らかく微笑んだ真里と充。真里が澪を抱き締める。その二人を充は抱き締める。 温かい、と澪は感じた。あの「熱」の「温かさ」とは違う。この「温かさ」が澪の心を覆う。人肌に温められたマフラーみたいにぬくぬくで。
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