第二話

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澪が病室を出ると、入れ替わりに尋人の両親、千尋と小百合が来た。 「尋人。」 「母さん。父さん。さっき、秋川先生が来てくれた。」 「そうか。」 「普通は不安になったり、緊張するんだろうけど、何故か、落ち着いてる。何もなかったみたい。」 なんでだろうね、なんて。小百合と千尋はお互いの顔を見合わせると、再び尋人の表情を伺う。 「信じてるんだ。絶対大丈夫だって。」 「尋人…。そうだな、絶対、大丈夫だ。父さん達も信じるよ。」 両親に微笑む尋人に、強くなった、と思った。小さい頃とは違う、凛とした強さを持った、と。 幼少期の尋人は、千尋と小百合を困らせるほどによく泣いていた。何度、「どうして?どうして僕なの?」と問うていた。性格的に大人しかった為に、無茶をすることはなかった。満足に動けないでいた為に、仲間外れにされたりと苦い経験をしてきた。 教員になろうと決意した頃には変化を遂げていた。 30分後。 「野上さん。そろそろ行きましょうか。」 「はい。」 「よろしくお願いします。」 ガチャリ、とベッドのストッパーを外す音が聞こえ、これで、という気持ちが溢れる。張りつめていた何かが途切れたのか、安堵なのか、形容し難い感情が満たす。 寄り添った両親に、大丈夫だ、と伝えんばかりの笑顔を両親に見せると、病室を後にする。
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