~一談~春風吹くは始まりの夜

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輝は、それに対して一つだけ 「いないものよりいるものの方が大事だぜ」 「はぁ?」 他の奴には意味の分からない言葉だった。他の奴には 放課後は、言わずとも部活動がある。この学校は8時近く、遅くても9時まで開いている。そして第二校舎組は、暗くなった7時ごろに向かった…… いつも使ってる校舎はちらほら教室などの灯りが点いており、まだ、明るかった。だが第二校舎は違う。第二校舎全体を補修工事をしていて、電灯などの電気は切られていて、灯りが点かない。ただ光は、赤い灯り(あかり)の消火栓の灯(ひ)と緑の光の非常口の灯りだけ。そして、それ以外は辺り深海の奥底の黒 「うわ~…不気味…」 男子一人がそう言った。そんな中、実花はもうこの場が人の領域で、なくなっていることに気づいた。黒い廊下の奥や自分が写る教室の戸窓の向こうに…何体も…何体も… 「ここ、止めた方がいいんじゃないかな……」 そう実花は言うが周りは、浮かれ遊び半分。そんな中のこの発言は意味をなさない。 「何?怖がってんの?」 違う男子が、そう言いながら笑った。他にいた女子と由は、実花の言うことに 「え?実花って、もしかして見えるの?」 それに正直に答えるべきか否か。実花はあまり、このことで得をしたことはない。特に人間関係では。だから結局いつものように、見えないと嘘を言おうと思い、口を開きかけた時 「うぅあぁあぁぁああ…」 「え!何!!」「何だよ!!これ!!」 何処からともなく、怖ろしげな声と言うより鳴き声と言った方がいい音が廊下に響いた。そして、それに驚き青ざめた一同。やっと、実花以外の者もこの場がどんなとこか、分かったようである。
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