~一談~春風吹くは始まりの夜

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春の陽(ひ)が射し始め、夜が開ける。鳥は鳴き始め、町が起きる頃 新四京市の下町、1人の女子が家から出る。彼女は、天川 実花。最近高校に入学した。どちらかと言えばおとなしい?青春真っ只中の女の子。 でも、彼女はちょっとほかの子とは違う 「おはよう。竜平くん」 そう言う先には、誰もいない……。あるのはペットボトルに花が挿されたのと、お菓子や缶のジュースが置いてあるだけ。 「おはようございます。実花お姉ちゃん」 だが、スゥ~と白い影が現れ、言葉を返す。その白い影は、段々ハッキリし始め小学生ぐらい男の子の姿になった。 でもその姿は少し透けていて、男の子の後ろが見えた。 「大丈夫?悪い霊に襲われたりしてない?」 「うん全然。実花お姉ちゃんこそ大丈夫?僕達、霊が見えて?」 男の子・竜平くんは、生きている者ではないようだ。 その竜平くんは明るく話を返す。そして、逆に実花を心配する。 「うん。悪い霊にあまり会わないから、大丈夫だよ。でも、竜平くんも気をつけてね」 実花はその、竜平くんの言葉に優しい笑みを見せ、優しく返す。 「うん!分かったよ。実花お姉ちゃんもね」 そう言うと竜平は薄く霞(かすみ)、消えて見えなくなった。 彼女には、この様な霊的な物が見える者のようだ。 そして、その力が後々に彼女の道を変えていく。
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