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突然帽子を被らされたパルスィは「へぁ!?」と声を裏返させた。
「ちょっと勇義、変な声出ちゃったじゃないのよ!」
「戻ったか。んじゃ行くぞー」
勇義はパルスィの言葉を華麗にスルーし、手を引っ張って地上に向かう。
パルスィが「引っ張らないで」と必死に抗うも、力の勇義とまで言われたこの鬼には敵うはずがなかった。
地上付近で勇義は振り返りキスメに礼を言い、直ぐにパルスィを引っ張って行った。
パルスィも出る直前にキスメに礼を言うも勇義に引っ張られ、最後まで言えなかった。
地底に残された二人は二人を見送った数秒後にため息を吐いた。
「暇になっちゃったね、キスメ」
「そうだね、ヤマメ」
数秒の沈黙の後、二人は再度ため息を吐く。
「……旧都でも行く?」
「そうだね。」
ヤマメの提案に乗ったキスメは名残惜しそうに地上を見て、1つ呟いた。
「あの帽子、心地良かったんだけどなぁ。」
「行くよ」とヤマメに急かされて、キスメは慌てて旧都へと体を向けた。
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