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入り口付近はやけに騒がしかった。
何事?と勇儀に話しかけながら上っていくパルスィ。
さぁね、とパルスィの問いを流す勇儀。
そんな二人の目の先にあったものは、地上の光を背にある麦わら帽子をかぶった少女だった。
「あ、勇儀にパルスィ。これからお出掛け?」
麦わら帽子の少女はキスメだった。
「キ、キスメか……。アタシはてっきり神かなんかだと思ったよ。」
勇儀は、酔いも覚めちまったよ、と着けたし心底驚いた表情だ。
一方、パルスィの方は
「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい……」
と、いい具合に壊れていた。
「いやー、アタシもビックリしたよ。まさか、キスメがこんなに輝くなんてさ。」
ヤマメはニヤニヤしながら舐め回すようにキスメを見る。
キスメはイヤらしい視線に耐えられず、桶に入ってしまった。
「ヤマメ!あんまり見ないでよ!」
顔を赤くしてかわいく怒鳴る彼女を見て余計にヤマメはニヤニヤし始める。
最早只のエロジジである。
キスメは少し呆れながらも勇儀のいつもとは違う格好に気が付いた。
「勇儀、着物なんか着て何処にいくの?」
「ああ、今日は萃香とパルスィとで夜雀の所へ行こうと思ってね。」
勇儀の答えに納得したキスメは麦わら帽子を外して勇儀に渡そうとする。
「外はまだ明るいからこれを着けていくといいよ。」
「ありがとう。けどアタシは意外と外に慣れてるんだ。だからパルスィに渡しとくれ。」
そう言って彼女はパルスィに麦わら帽子をかぶせた。
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