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時給850円のスーパー。時給800円のコンビニ。目に留まった時給1300円の警備員のアルバイトは、男性のみの募集だった。
里香は深い溜息を漏らしながら、無料の求人誌を棚へと戻した。そして再び溜息をつき、2冊目の求人誌を手に取った。
キャバクラや風俗などの、いわゆる水商売。短期間で大金を稼げるのなら、自分の身体を使っても良いとさえ里香は考えていた。
しかし指名を取れなければ稼げないと、テレビ番組の特集で取材されていた従業員が言っていたのを思い出し、その世界は諦めた。
それに容姿に自信があるわけでもないし、冷静に考えてみれば自分に客を、虜にする接客スキルなどない。風俗にかんしても、性行為の経験がない自分など稼げるはずがないのだ。
水商売ではない職種で何かないのだろうか。求人誌に穴が開くほど、里香は必至に探した。しかし淡い期待も空しく、最後のページへと辿りついてしまった。
鼓動が強く胸の内を打ち、急速に唇が渇いていく。里香は下唇に舌を這わせながら、微かに震える指先で最後のページを捲ったのだった。
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