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部屋に漂う悪臭は、この死体が放つ腐乱臭だということは分かった。
中身を認識したせいか、臭いが更に強くなった気がする。
吐き気を堪え、鼻を摘みながら箱から離れた。
しかし誰の死体なのだ?
なぜ前川は硫化水素だと嘘を付いてまで、この死体を俺達に見せたのだろうか。
様々な疑問が頭の中を回る。
「……和希!」
その疑問を解消したのは、今まで泣いていた涼子だった。
目や鼻を赤く染めながら、娘の名前を叫んだのだ。
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